カツショップVol.4「おやつ」@人間座スタジオ
カツショップVol.4「おやつ」を観に行きました。カツショップとは、団体名で、タイトルが「おやつ」。人間座スタジオとは、会場です。料金は、前売りで800円でした。
何度も一緒にお芝居をした後輩の女の子が出ていたので、観に行った訳です。今回は、その感想を書く訳ですが、非常にツッコミが多くなっています。そのツッコミは、私自身が演出をやっていた時にしていた事だと思われるので、反省的意味合いがありますし、こういった感想がカツショップさんの今後のためになれば良いと思いますし、また、感想をまとめることで、自分も高めようと思います。
注意としては、私は関係者の方と懇意ではありませんし、見た感想、つまり、客の視点でしかないという事です。だから、私が「こう感じた。」ってだけで、本当の事は分らないことが多いです。
脚本に関して 演劇というものは、以下のような特徴も持っていると思います。
・ストーリーが難解である。
・芸術性を持っている。
・理不尽・不条理に許容性がある。
私が、公演を見ていて思ったことは、以上のような事でした。確かに、こういう部分があると思いますが、今回観たお芝居は、疑うことなく上記のような特徴に基づいて書かれている、と思いました。要は、ストーリーが難解だったという事です。私の頭がアフォなだけかも知れません。
何でも「分り易い」事が、良いとも思いませんが、難しければ良いとも思いません。一番気になったのは、観ていて「今、起承転結のどのへんだろう?」と言う事が分らなかった事です。上演時間が90分と前説で説明があったので、「まだ終らない」って事は分っていたのですが、ストーリーの流れ上、「ここで終れる」って所が後半に何度もあって、でも、終らないので、後半はしんどかったです。
起承転結の構造は、分り難かったのですが、結のウエイトが時間的にも演出的にも重過ぎました。また、起承転結は、やはり、黄金の構造というか、「着地点が見えないまま続く」のは、観ていてシンドイ訳です。
言葉の持つ力 脚本の構造も大事だと思うのですが、言葉、単語の持つ力というモノも大事です。思ったのは、強いイメージ、力を持つ単語、キーワードが連発されていて、どれが重要かよく分らなかったです。全部、重要となら、情報が過多だと思います。台詞にしてしまうと、お客さんに伝わる情報としては、多いので、もっとシェイプアップした方が良いと思いました。台詞の大半にメッセージ性があるような気がして、頭が疲れて来る訳です。
脚本の構造 面白い脚本を突き詰めて行くと、ストーリー、台詞と来て、最終的には、構造になると思います。面白い脚本は、骨組み、構造が面白い訳です。
起承転結が良く分らなかったという感想を書きましたが、構造的に、着地点が見え難い上に、台詞が情報過多で、話が分り辛かったので、どれかがもうちょっとお客さん(私)に優しければもっと見易かったと思います。難解であることが、評価に繋がればよい訳ですが、今回はそうじゃなかったって事です。
演出・演技 正直な所、「役者さん上手いなー」と思って観ていたのですが、力の調節がイマイチだと思いました。「何かを表すために何かをする。」という力の使い方しかされておらず、プラス方向でのエネルギーの使い方だけでした。
小劇場の良い所は、会場の狭さにあるので、大きな声を出さなくても聞こえますし、体は動かさなくて、感情を動かすだけで、お客さんに伝わるモノはあります。でも、全てを、強弱はあるにしろ、「攻め」の演技・演出なので、手数は単純に減りますし、シーンの作りも似てきます。だから、私は「ストーリーの進行度と台詞の内容」で、シーンの重要度を感じないといけない訳です。これは、結構、大変です。特に声の大きさに関しては、「少しテーマに関わりそうなことや、重要臭い」ことになるとMAXになるので、どれが本当に重要なのか分かりませんでした。
だから、「声を出さない」、「動かない」という「~しない」という演技・演出を増やして手数を増やし、シーンの作りを上手く変えていけば自然とお客さんに伝わるのだろうな、と思いました。
役者さん 役者さんはとても上手だと思いました。ただ思ったのは、「求められたことを体現する」ことが上手なんだろうなと思いました。非常に、役者としては重要なスキルだと思いますが、しかし、「何かを作り出す」というスキルは足りないなと思った訳です。これは、出演している役者さんで日常の部分で接したことがあるのは、後輩の女の子だけなので、「観てそう思った」の枠は出ないわけですが、強く感じたのは、ネタの部分でした。面白いことを言えば面白くなるのは、普通だと思うのですが、それ以上の個としての役者の「笑いへの愛とか哲学」が感じられなかった訳です。パワーで押し押しのネタが多かったから、余計です。
まとめ 水戸黄門の印籠は何故絶大な力を持つか? それは、一時間に一回しか使わないからです。
お芝居を観終わって思ったのは、「90分で40,50回は印籠を出てきたな。」ってことでした。印籠とは、必殺技であり、必殺技とは、演劇の場合、重要な台詞に相当すると、考えますが、必殺技の頻度が高すぎた訳です。それは・・・
・意味深な単語・言葉の乱発
・声・感情のMAX部分が多い
というようなことに由来します。どれが、本当の印籠か分りませんでしたし、印籠の数が多すぎて一つ一つの効果が薄れている訳です。黄門様が、町人同士のいざこざで印籠を出したら、感動も効果もないでしょう。
そして、全てが必殺技なら情報が多すぎる訳です。私が、最初の終わり時を感じてから、随分、お芝居が続きましたから、脚本の内容とかテーマはさておき、「気持ちの良い所で終る」ことの出来る脚本作り、演出が大切だと思いました。書くと欲が出る物で、色々詰め込みたくなるものですが、10書いて1残すくらいの気持ちが良かったりします。良い脚本は、ボツや削除された部分が多いと言います。切る勇気も大切な訳です。
後、パワーとか演技の濃度が高いので、会場をもっと広い所で、舞台の高さを上げれば、それだけで、良い感じに見えるのじゃないかな?って思いました。
さてさて、ツッコミばかり書いてますが、「脚本を書いて、実際に演じる」ということは、多大なエネルギーを使いますから、現場にいるということは尊敬できますし、若くて元気ということは羨ましい限りです。ツッコミが出るということは、良くなる可能性を秘めていると言う事ですし、カツショップさんが、どんどん、有名になってくれたら嬉しいです。そして、後輩の女の子が、この記事を読んでくれると非常に嬉しい訳です。全世界に向けた、一人を対象とした叫びです。
余談ですが、こんなことを考えていて、全然笑わない客が最前列に座っていたので、役者さんは、やりにくかったかも知れません。すみません・・・。
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