星守る犬(村上たかし)は失っていく物語だと思う(ネタバレ注意)。
少し前に、村上たかしさんの「星守る犬」を読んだのですが、感想を書くのは、はばかれてました。それは、自分の読解力よりも作品が超越している…という風に感じたのめなのですが、頭の中にずっと感想が残っている感じがしたのと、後、書きたくなったので、ここで吐き出しておきます。
最終的に感じたのは、「この作品は読まない方が良い」ということでした。後、内容的にネタバレを含みますので、もしも、これから読もう…という方は、この記事は読まないで、別の記事でもどうぞ。

このコミックスの感想です。
失っていく物語
「人」の「間」と書いて「人間(ニンゲン)」ですが、「人(ヒト)」じゃあなくて、「ニンゲン」と呼ばれる時、私達は、社会の中で生きていて、そして、他者との関係するからこそ、「人間」になれるのだと思います。それでは、他者との関わりがなくなったら、人間はどうなってしまうのか?ということを感じました。
また、私達が社会生活ができるのは、経済の中で、お金を持っているから生きていける…と思えます。仮に、働くのが困難になったとしても、生活保護であるとか、福祉というセーフティネットも、やはり、「お金」の力によるものだと思います。では、お金がなくなれば、人は死んでしまうのか。
忘れがちですが、川には水が流れていて、山には植物が生えていて、また、私達が出す残飯の量は、かなりの人間が食べれる量になっています。飲食店やコンビニから廃棄される食品は、かなりの量になっていると言います。また、家庭から出る食べ物のゴミも実は、結構な量です。
では、人間社会においては、プライド等々の問題がありますが、お金はなくても、生命を存続させることができ。しかし、もしも、身体が病気になってしまえば…。お金があれば直せる病気であれば、いや、お金でも直せない病気に罹患した場合には…どうやって生きることができるか…。
「星守る犬」は、このように徐々に失っていく物語だと感じました。人間は、絶対的な暗黙の条件として「長生きしないといけない」というのが、あると思います。その理由を考えた時に、それは多分、自分が関わる人の「ため」…だと思うのですが、関係する人を失った時に、「どのように」「どれくらい長く」「生きる」ことに、どのような意味があるのか…?そんなことを考えました。
また、この作品は2部構成になっていますが、第2部では、「成長をしないこと」というのは、「ゆるやかな減衰である」と感じました。「失っていく」…とは、少しニュアンスが違いますが、根は同じように思えます。同じ仕事をしながら、収入が増えていかなければ、加齢した分だけ「減衰」です。また、加齢とともに、「結婚」、「出産」、「子どもの結婚」とライフステージを進んでいかなければ…それも、「減衰」もしくは「停滞」なのだと感じました。
しかし、誰のために生きるのか?という問題を考えた時に、そのことすら、些細なことに思えました。
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読んではいけないと思った理由
色々と考えて、「この作品は読まない方が良い」と思ったのは、単純にストーリーが悲しすぎるからです。涙が出ることを「感動」と言って、肯定的に表現することはできると思うのですが…多分、私よりも犬が好きな人は、心に訴えかけるモノが強すぎるのじゃないか?と思えたためです。犬が好きな人は、読まない方が良いと思います。
「星守る犬」を作品な、構成などを考えてみると、一人の中年男性が「失っていく」様が綿密に構成されていると思いました。創作全体を否定することになりかねないですが、そのストーリーテリングは「残酷だ」と思いました。よく出来ているからこそ、残酷と思える訳ですが。それが「不幸」とは言えないかもしれないですが、そこに向かっていくストーリーを作るのは、村上たかしさんも、精神的にクるものがあったのじゃないか?と後書を読んで思いました。物語の中で「死」を描くことに関して、考えさせられました。
そんな感想でした。「読まない方が良い」とは矛盾しておりますが、読んで損のない名作だと思いました。犬が好きな人は…悲しみから戻ってこれないのじゃないか?と懸念します。
関連コミックス

続編もあるみたいです。
参考
平成20年度第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品。他に雑誌『ダ・ヴィンチ』における「ダ・ヴィンチ ブック・オブ・ザ・イヤー(BOOK OF THE YEAR)2009」の「泣ける本ランキング」と「読者が選ぶプラチナ本」の二部門で共に第1位を受賞した他[1]、『このマンガがすごい!2009』(宝島社)オトコ編 第4位、『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』(フリースタイル) 第5位に選出されている。
星守る犬 - Wikipedia
映画化もされているようですが、映画は、見ておりません。多分、映画→コミックスの順番の方が良かったのじゃないか?と思えます。
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