ビブリア古書堂の事件手帖第5話ドラマ感想&あらすじ・私たちは書いたものを削除することはできる。しかし、書かなかったことにすることはできない。エンディング直前に栞子(剛力彩芽)が誰かに襲われる?!
※かづちやえからのドラマ感想の寄稿です。はじめのはじめに。TV・映画・本・漫画…とさまざまなものが簡単に手に入り溢れかえっている時代、その中で本(文学作品)をわざわざ手に取る若者が、簡単に本に影響されて悪事を働くなんて私には想像できませんでした。特に文学作品などは色んな視点から見ることもでき、時には一通りでない解釈もできる可能性を秘めていると思います。(解釈の誤解が生まれないとは言えませんが。)どちらかというと現代では簡単に読める上に率直な表現が行われている漫画やTVなどの方がその影響力は大きいのではないかな、と思いました。
はじめに。
ビブリア古書堂から聖桜女学館へいくつかの古書を寄贈します。栞子(剛力彩芽)が直接学校へ古書を運ぶと、迎えに出てきたのは図書委員である田辺美鈴(生田絵梨花)。彼女は地元の小学校で子供たちに絵本を読み聞かせるボランティアをしており、栞子(剛力彩芽)に絵本を紹介して欲しいとお願いする。栞子(剛力彩芽)は快く引き受け小学校まで絵本を持っていくのだった。
ちなみに、寄贈した本のうち数冊は教員である杉浦(阿南敦子)によって返却された。理由は「中学生が読むには不適切である。」ということらしい。栞子(剛力彩芽)は「文学的評価が高いため、性描写や暴力描写があるだけで除外するのはもったいない。」と説得するも、以前『時計じかけのオレンジ』を読んで学校を批判する感想文を提出した生徒がいるので、と却下された。
「誰かに押し付けられていい人になっても、本当にいい人になったことにはならない。それならまだ悪いことをやっている方が人間らしい。」
この感想文の解釈も、批判と取るか皮肉と取るかで全く違う意味になるのではないかと、私は思いました。
事件。
ビブリア古書堂に第2話で登場した女子高生、小菅奈緒(水野絵梨奈)が現れる。どうやらあの事件以来、志田(高橋克実)に本を選んでもらって借りていて、今日はその本を返しにきたらしい。が、志田(高橋克実)は元気のない奈緒(水野絵梨奈)を心配し理由を尋ねた。
奈緒(水野絵梨奈)の中学生の妹、結衣(森迫永依)がCDを万引きし停学処分中だと言う。結衣(森迫永依)は聖桜女学館に通う優秀な生徒で、アンソニー・バージェス『時計じかけのオレンジ』の感想文で優秀賞をとり新聞に大きく取り上げられるほどで、奈緒(水野絵梨奈)も結衣(森迫永依)には一目置いていた。
『この本を読み終わって私はすぐにベートーベンの第9交響曲を聞いた。本の中に何度も出てきたからだ。思ったよりも長かったけれど、最後の合唱のところはすごく綺麗で胸がわくわくした。(中略)誰かに押し付けられていい人になっても、本当にいい人になったことにはならないと、作者は言っているような気がする。それならまだ悪いことをやっている方が人間らしいかもしれない。(中略)この小説に本当の意味でいい人は出てこない。アレックスが心を許せるのは音楽だけだ。病室で大好きな第9交響曲を聞きながら、アレックスは地球が悲鳴を上げているところを想像する。私もその曲を聞きながら耳を澄ませる。ひょっとすると、地球の悲鳴が聞こえるかもしれないと思って。』
五浦「やっぱり変わった子だったんだなぁ。」
栞子「・・・変わっていますか?」
結衣(森迫永依)はこの本に影響されて万引きしたのでしょうか。栞子(剛力彩芽)は奈緒(水野絵梨奈)に今度学校へ行った時に結衣(森迫永依)の様子を見て来て欲しいと頼まれます。
栞子(剛力彩芽)が再び学校を訪れた時、結衣(森迫永依)の万引きの件を噂し悪口を言う生徒を見かける。すると、その生徒たちに注意する生徒がいた。図書委員の田辺美鈴(生田絵梨花)である。田辺(生田絵梨花)は結衣(森迫永依)の友達で、本の貸し借りをしたり一緒に古本屋に行く仲だそうだ。田辺(生田絵梨花)と話をするうち、教室から結衣(森迫永依)が現れる。栞子(剛力彩芽)は例の感想文のことを聞こうとするが結衣(森迫永依)の様子がおかしい。田辺(生田絵梨花)が結衣(森迫永依)を庇い「今はそっとしておいてください。」と二人で去っていきました。
「妹さんは万引きをしていないかもしれません。」
ヒント。
①万引きした際後ろ姿を店員に目撃されていた為学校に通報が入り、数日後奈緒(水野絵梨奈)はお店に自分が犯人だと名乗り出た。
③同じCDを数枚万引きしている。
②万引きしたCDはお店に転売したと証言している。が、高校生が店頭で同じCDを数枚売ろうとすれば店員に怪しまれ、買い取りはしてもらえない。
③奈緒(水野絵梨奈)は結衣(森迫永依)を励まそうとフリーマーケットに誘ったが、結衣(森迫永依)は潔癖症の為断った。
④店頭で探したが売り切れだった為、『時計じかけのオレンジ』はネットで奈緒(水野絵梨奈)が購入している。
⑤感想文を書く時、図書館は使用せず自宅で書いた。
⑥田辺(生田絵梨花)が絵本の読み聞かせで通う岩谷小学校の図書館には歴代の読書感想文の冊子が保管されている。
謎解き。
1971年早川書房から出版された『時計じかけのオレンジ』には本来存在する第21章が出版社の意向で削除され、主人公の洗脳が解かれ大音量でベートーベンを聞くシーンで終わります。感想文で「」ということは、結衣(森迫永依)は第21章がない『時計じかけのオレンジ』を読んだ事になります。しかし、奈緒(水野絵梨奈)がネットで購入したのは2008年に出版された『時計じかけのオレンジ‐完全版‐』で第21章、主人公のその後が描かれている本でした。(1971年に出版された本は現在絶版になっている。)
結衣(森迫永依)は店頭で本が売り切れていたので奈緒(水野絵梨奈)にネットで購入してもらっている。潔癖症である結衣(森迫永依)は図書館を使用せず感想文を書いている。一体何がきっかけで『時計じかけのオレンジ』を購入し読もうと思ったのか。
結衣(森迫永依)は感想文を読んで『時計じかけのオレンジ』に興味を持ったのです。結衣(森迫永依)は岩谷小学校の出身で、例の読書感想文の冊子にあった『時計じかけのオレンジ』に関する読書感想文を読んだのです。そして、その感想文は絶版になった方の『時計じかけのオレンジ』を読んで、同じ小学校の出身であった栞子(剛力彩芽)が昔書いたものでした。結衣(森迫永依)はその感想文に触発され『時計じかけのオレンジ』の感想文を書こうとするが、その感想文を超えることはできず、その感想文を丸写しして提出したのだ。
その事実に気が付いたのが岩谷小学校で絵本の読み聞かせをしている田辺(生田絵梨花)でした。偶然感想文の冊子を目にしてしまい気づいたそうです。
ここでもう気づかれた方がいらっしゃるかと思います。
万引きをしたのは田辺(生田絵梨花)でした。そして弱みを握っている結衣(森迫永依)と取引をしたのです。(因みに二人は友人ではありません。本の貸し借りや古本屋へ一緒に行ったりは潔癖症の結衣(森迫永依)にはできませんから。)田辺(生田絵梨花)が何故万引きをしたのかは描かれておりません。では、何故結衣(森迫永依)は取引に応じたのでしょう。
「万引きより人の感想文を盗む方が恥ずかしい。」
では何故他人の感想文を書き写したのか。
「読んでみたら怖い話で難しい言葉も多くて読んでみるのをあきらめた。」
結衣(森迫永依)は姉の奈緒(水野絵梨奈)が五浦(AKIRA)と付き合っていると誤解していた。奈緒(水野絵梨奈)が五浦(AKIRA)に本を借り、急にたくさん家に持ち帰り読書するようになったので負けてられないと焦っていたようです。(因みに、話の途中で本を貸しているのは志田(高橋克実)だと申告した際、一瞬付き合っているとあらぬ誤解をされると取り乱した志田(高橋克実)が可愛かったです。)姉の奈緒(水野絵梨奈)の周囲には自然と人が集まるが自分にそんな仁徳はない。だから、せめて勉強では姉の奈緒(水野絵梨奈)に負けたくなかった。奈緒(水野絵梨奈)が「『時計じかけのオレンジ』は難しすぎて読めない。」と言っていたのでどうしてもこの本で感想を書きたかったそうだ。
「気づいてあげられなくてごめんね。」
私たちは書いたものを削除することはできる。しかし、書かなかったことにすることはできない。(byアンソニー・バージェス)
ビブリア古書堂。
五浦(AKIRA)は再び、本の中から女性が写った(第1話で見かけたのと同じ)写真を見かけます。店に居合わせた栞子(剛力彩芽)の弟、文也(ジェシー)に聞くとどうやら写真に写っている女性は二人の母親らしい。五浦(AKIRA)は以前、栞子(剛力彩芽)が母親の話になった時顔を曇らせた事を思い出す。
文也「この写真見たこと姉ちゃんには言わないで。母親の話は禁止だから。」
次週。
ラストシーンは雨。階段を上る栞子(剛力彩芽)、階段の途中でふと本を確認しようと一旦おろししゃがみ込む。すると目の前に男性の足が。緊張して立ち上がった瞬間、肩を蹴られて階段から転落する。BGMは『雨に唄えば』。『時計じかけのオレンジ』の主人公が犯罪を犯すとき口ずさんでいた唄です。
次週は栞子(剛力彩芽)が持っている太宰治『晩年』の初版が何者かに狙われる?!
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バージェス(1917-1993)はイギリスの小説家・評論家です。彼はまた作曲家、詩人、脚本家、ジャーナリスト、エッセイ、旅行記、翻訳などでも有名だったようです。
アンソニー・バージェス『時計じかけのオレンジ』彼が行っているのは苦痛からの逃避であり、自ら選択して行った善ではない。(ビブリア古書堂の事件手帖第5話より)。
感想の感想(ナカノ実験室)。
ふーむ…。ちょっと取り込んでいたせいで、この記事の公開が遅れたのですが。私は、原作は映画でしかみたことないですし、ドラマも(ジャンプ感想などの関係で)見てないのですが…。
感想を読むだに、メッチャ面白そうな感じが…。削除された最終章に関する部分が、ドラマの内容に関わっていることが、おお!と思いました。さらに、ラストシーンが、『時計じかけのオレンジ』と重なる部分も…良いな、と思いました。
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