感想・書評:AnotherエピソードS(綾辻行人)ネタバレ注意!乱れ蝙蝠の365書11。
はじめに(ナカノ実験室)。
今回も友人の乱れ蝙蝠からの寄稿です。
乱れ蝙蝠の365書11 綾辻行人「Another エピソードS」
「聞かせてあげようか、榊原くん。あなたの知らなかった、この夏のお話」
「人は、死ぬとね、どこかでみんなとつながることができるんじゃないか。そんなふうに思ったりもするんだ」
この企画もだいぶ久しぶりになってしまった・・。ダメですねえ。もちろん本は読んでなかった訳ではありませんがそっちもぼちぼち更新していきたいです。政治的な記事なんか書きたくなくて、本当はこんな記事書きたいんだよ。でも安倍があまりにもクソだから・・
まあ、その話はいいや
綾辻行人さんは1960年12月23日京都生まれ。京都大学院博士後期課程終了。87年 在学中に「十角館の殺人」でデビュー。社会派ミステリー全盛期に、リアリティと距離を置いた本格ミステリーを復活させ新本格のムーブメントをおこす。「十角館の殺人」から始まる、謎の建築家中村青司が日本各地に建設した謎の館で連続殺人がおきる館シリーズ
「十角館の殺人「水車館の殺人」「迷路館の殺人」「人形館の殺人」「時計館の殺人」「黒猫館の殺人」「暗黒館の殺人」「びっくり館の殺人」「奇面館の殺人」
で知られる。ホラー、サスペンス小説でも有名で、サスペンス小説の「囁き」シリーズ、「暗闇の囁き」「緋色の囁き」「黄昏の囁き」も人気シリーズ。
幻想性、耽美性豊かな文章は江戸川乱歩を思わせる。同じ作家の小野不由美は妻。また、直木賞作家の辻村深月さんは学生時代から綾辻さんの小説の大ファンでファンレターをおくって以降交遊がある。アーティストのALI PROJECTとは作品の雰囲気が似ていることもあり、懇意にしている。綾辻さんは人とカラオケに行った時にALI PROJECTを知らない人の前でいきなりALI PROJECTの歌を歌うのを趣味にしているらしい。私もアリプロは好きですが、知らない人の前で歌うのは確かに反応見ていて楽しいですね。カラオケ行ったらみんなが知ってる歌はまず歌わない私です。綾辻さんは私が好きな作家なので、独立した記事も書きたいです。
一応、物語の真相を思わせる部分があるのでネタバレ注意。
※記事の後半に続きます。
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学園ホラー「Another」はアニメ化、マンガ化、実写映画化され大ヒット作になった作品で、謎めいたヒロイン見咲鳴は一躍人気キャラになった。私も前に、買ったフィギュアを撮影してブロクに載せた。
今回の「エピソードS」は外伝。鳴が物語の舞台である夜見山を留守にしていた一週間の間に体験した出来事を書いている。死の恐怖が忍び寄るホラー感満天だった前作とは違い、静かな幻想的な作品になっていてこちらの方がより私好みになっている。どっぷり世界観を堪能出来た。
鳴が久しぶりに会った知り合いの青年は既に死んでいて幽霊になっていた。彼は自分が何故死んだのか、死の真相も自分の死体がどこにあるのかもわからなくなっていた。こうして鳴と幽霊の死体探しの冒険が始まった・・・・。
綾辻さんが
「結果的に「生きろ」がテーマの作品になった。」
と雑誌で語っていたがまさにその通りで 突き放した感じで
「死なんて美しいものではなく、ひたすらに醜くやるせなく悲しい」
という真実が書かれている。特に死体が発見されたシーンはかなり生々しく描かれていてえげつなく、死の現実に直面させられる。死について静かに考えさせる内省的な作品になっていて、前作とは裏表の関係になっているように思える。前作で夜見山を襲う現象を体験した誰かが、将来直面するかもしれない悲劇を書いているという面でも、前作とは切っても切れない関係になっている。ラストで写真の謎が解決するところはあまりにもやるせない。その反面、電話の謎に関してはちょっとあっけなく強引な感じがした。
過去の作品の焼き直しと批判する人も目にしたが、確かに館シリーズの一作である「人形館の殺人」を思わせる部分が多い。人と付き合うのが苦手な孤独で死に惹かれがちな青年が 、館に隠遁しているという設定も同じ。叙述トリックが仕掛けられている点も同じ。まあ、綾辻さんの作品、みんなそうだけど。しかし、「Another」は無理矢理ながら映像化したが、こっちの外伝はさすがに無理だろうな。
やったらかなり不自然なシーン多くなりそう。
確かにかぶっている点は多いが、「人形館の殺人」は私の好きな作品だし、隠遁とか憧れるし私はあまり気にならなかった。
綾辻さんは自分の作品がアニメ化されたのがよっぽど嬉しかったのかアニメからの影響を結構多く感じる。前作でもそうだったが、鳴の萌えキャラ度がさらにあがっていたりする。ミステリアスな外見と行動のギャップがより顕著になってるかもしれない。ぶっちゃけ自転車に乗れないというとこは萌えた。また、ラストでいきなりあの人の名前が出て来るのは明らかにアニメからの影響だろう。前作ではほとんどあの人は出て来なかったし。そのラストはあからさまに続編の存在を匂わせるものだったが、ちょっとそれまでの雰囲気が壊れてしまった感があったかも。
「人と繋がって一つになる」
というのもこの作品のテーマかもしれない。人はいずれ死ぬ。だから死んだら実体を無くし、みんなと一つになれるかもしれない。でも、人は一人の人間として今を生きるべき。そんなメッセージを感じた。鳴はいつも誰かと繋がりを持たせられる感があると言って、携帯電話を持たせられるのを嫌がっている。今の小中学生はラインとかにはまっているようだが、そんなに無意味に繋がりを求めてどうしたいのだろうか。なんか自分で自分を鎖で縛っているように思えてならない。まあ、それは別の話か。
綾辻さんは次回作に関する構想をいくつか持っているようなのでこころして待ちたいと思う。
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おわりに(ナカノ実験室)。
久しぶりの寄稿でしたが…このペースだと、365までどれくらいかかるのだろうか…(笑)。
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